スージー黒岩(vo)
札幌の老舗ジャズクラブ、Day By Dayのオーナー、スージー黒岩とは1996年に札幌に行った折に知り合い、長い付き合いになった。人柄のよい彼女は人真似でない独特の歌を歌う。不思議な歌手だ。
通常の日本人歌手は必ず、あちらの有名歌手の歌ったレコードを聴いて覚えるものだ。スージーの歌を初めて聴いたとき「誰の歌を参考にしているのか?」を考えながら聴いていたのだが、その答は浮かんでこない。
まったく自分の歌を歌っている。その上英語の発音は滅茶苦茶だから実に奇妙な雰囲気となる。
そのカタカナ英語でJunior ManceやJohn Hicksといった超一流のジャズ・ピアノの伴奏でレコードを吹き込んでいる。スージーにしかできない芸当を見せてくれる。だれにも真似できない。
それが、心のこもった暖かい歌が聴く者の心をとらえる。こんな歌手は世界に一人しか知らない。
英語の発音をFakeする日本人は彼女ひとり。20年前はなんとか英語の発音を教えようと思い、手紙を書いてやったこともある。でも、スージーにはそんなもの必要ないのだ。
スージーをマヌエラに呼んで2日間ライブを開催した。みんなに聴かせたかったからだ。大先輩の大伴 昭さんが1曲聴いてたまげてしまった。私にそっと聞いた。
「一体、これは何なんだ?」
「宇宙人のジャズソングです」
「・・・・・・・」
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