歌と歌手にまつわる話

(52) なぜ I'm dreaming of 〜 か? White Christmas
(in English, click here) 


Bing Crosby with Danny Kaye,
 
Rosemary Clooney and Vera-Ellen
ホワイト・クリマスはビング・クロスビーが一世を風靡したクリスマス・ソングです。アービン・バーリンが1941年に映画"Holiday Inn"のために作りました。翌1942年、ビング・クロスビーがJohn Scott Trotter Orchestraをバックにレコードが出ました。

戦後、1954年に映画"White Christmas"が封切りされました。写真はその時のものです。確か東劇で見た憶えがあります。その時、レコードを買ってきて憶えました。ジングル・ベルしか知らなかった頃です。裏面は何だったんでしょうか、憶えていません。そうだ、ジングル・ベルだったのかなぁ。13歳のときにクロスビーの節回しや口笛を真似して唄っていたのを思い出します。

生意気な中学生です。回りで聴いていた大人は”Jingle Bells"くらいしか知らない時代でした。昭和29年ですから。

LAに住む一人の若者が兵士となってヨーロッパの戦線に赴き、負傷してノルウェーだかデンマークだったかの病院に入院していたとき、生まれて初めて"White Christmas"を経験しました。クロスビーは一度も唄ってはいませんが、次のようなヴァースがあるのです。

The sun is shining
The grass is green
The orange and palm trees sway.
I've never seen such a day
In Beverly Hills LA.
But it's December the 24th
And I am longing to be up North. 

異国での初めての雪のクリスマスを想い"I'm dreaming of a White Christmas"となった次第です。何とも胸の詰まる歌なのです。雪村いづみはこれを聞き、唄うと涙するそうです。この話は沢田靖司から聞きました。 沢田夫人は雪村いづみと中学の同級生です。爵士樂堂主人も溜池の今はなきレストランで一緒に食事などしたことがあります。

何年か前、その沢田靖司が「このヴァースは何の歌か当てられるか?」といって、ヴァースだけ唄いました。その時までホワイト・クリスマスにヴァースがあるのを知りませんでした。

Vera-Ellenという名前をご存知ない方がいらっしゃることと思います。彼女は当時のトップダンサーとしていろいろな映画に出ておりました。もちろん歌も上手です。それより、誰が見てもチャーミングで多くのファンがいました。

ローズマリー・クルーニーも実に綺麗でした。いい時代でした。


White Christmas by The Drifters, 1954

ところで、ビング・クロスビーのホワイトクリスマスはとんでもないヒットになりました。それまでは、Gene Austinが歌った”My Blue Heaven”の500万枚というのが世界記録だったのですが、ホワイトクリスマスはシングルで5000万枚、アルバムを含めると1億枚売り上げたといいます。これはギネスブックに今も世界記録として掲載されています。


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