FRIENDS OF OZSONS


天王洲アイルのコンサート会場で 02/08/01

ロベルト杉浦

まだ大谷大学哲学科の学生時代にプロのタンゴ歌手としてデビューし、大学を卒業して間もないころ、芝のメルパルクホールで「タンゴの夕べ」というコンサートに出演しました。共演者は今では日本でバンドネオンの第一人者、まだ高校生だった小松亮太君です。

そのとき、「タンゴだけでは」というわけで映画音楽を途中にはさむことになりました。それにどういうわけか若Gが引っ張り出されたのです。かれこれ10年近く前になります。

楽屋でロベルトは「携帯ベーパライザー」で喉を一生懸命に潤していました。「発声を聴いてください」などと念入りなのです。こちらはタバコなど吸っているのです。

それがコンサートが終わったら、何です。タバコをすぱすぱやるのです。面白いやつだと思いましたね。

その頃は、まだ駆け出しのタンゴ歌手。しかし、ロベルトの歌に賭ける情熱はただならないものがありました。単身、アルゼンチンに武者修行に出かけ、タンゴの巨匠らに認められて帰ってきました。ピアソラの曲を好んで唄っていました。ピアソラは現代風のタンゴの大作曲家です。

それから何年かして彼はボレロにしびれました。ボレロはメキシコから中南米一帯で唄われるバラードつまりラブソングです。中には英語の歌詞がつけられてスタンダード・ジャスになった曲がいくつもあります。

たとえば、"It's Impossible,""What A Difference A Day Made!,""Yesterday I Heard The Rain"などがそうです。

98年ころにロベルトは"Yesterday I Heard The Rain"をボレロのライブで唄いました。びっくりしました。若Gは英語版をはるか昔に唄っていたのです。いや、いい歌なのですよ。もし、お聴きになるのでしたら、作者自身アルマンド・マンザネーロと、あのトニー・ベネットのCDをお奨めします。

2002年7月5日にロンドンでたまたま聴いたトニー・ベネットのコンサートでは最後の一曲に唄った歌です。
ロベルトは、またマイアミに戻るそうです。