歌と歌手にまつわる話

(7) 誤訳大賞  Do You Know What It Means To Miss New Orleans?(in English, click here) 
歌のタイトルが解かりやすいように日本語の訳題がついた歌がたくさんあります。ひどい誤訳といえば、ディキシーの人達が好んで演奏する

"Do You Know What It Means To Miss New Orleans?"

という歌がありますが、日本語訳は何と

「ミス・ニューオリンズを知ってるかい?」

なのです。これはまったく誤訳です。ニューオリンズを去ってから幾久しい、その淋しさ、懐かしさ、分かってもらえる?っていう意味合いなのです。


1944 年にEddie DeLangeとLouis Alterにより書かれた歌ですが、1910年代半ば過ぎからニューオリンズのジャズ・ミュージシャンはシカゴへ、さらにはニューヨークへと移って行きましたが、彼らがニューオリンズを懐かしむ気持ちを唄った歌ではないかと想像しています。

ジャズの歴史博士、鈴木さんも平成元年4月発行のスイング・ジャーナル別冊「ジャズ名画・名曲事典」に、1947年の映画「ニューオリンズ」の解説の欄で「誤訳」を発見しています。

そこでは「いとしのミス・ニューオリンズ」と書かれているそうです。この別冊を保管されている方は一度ご覧になってください。あげつらうつもりはありませんが、面白いものがいろいろあるわけです。

この映画でルイ・アームストロングとビリー・ホリデーが演奏して有名になりました。You Tubeにはその場面が出されています。You Tube

さらに2005年にニューオリンズを襲った未曾有のハリケーンで壊滅的な打撃を受けたニューオリンズを思い出させる歌としてリバイバルしています。カトリーナによりニューオリンズで演奏活動ができなくなったPreservstion Hall Jazz BandのメンバーがNYCに招かれ、この曲をMSNBC TVで演奏し見る人の涙を誘ったといいます。


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