ジャズと小噺 |
(9)豚箱にぶち込まれたサラとサリナ (in English, click here) |
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Lena Horne and Salena |
サリナ・ジョーンズの名前の由来は彼女の尊敬するサラ・ボーンとリナ・ホーンの名前からとったものなのです。この話は岩浪洋三さんがどこかに書いているのですが、サリナに確かめたところ真実でした。 はじめは自分の本名であるJoan Shawでデビューしたのです。名前をSa+lenaと変えるとき、自分の本名のJoanを姓に使おうとしたのですが、姓らしくないのでJonesとしたのです。サリナはこの名前が大変気に入っていると言っています。 さて、まだBillie Holidayが唄っていた頃、デトロイトでビリーが小さなジャズ・クラブで唄っているのを聴きに行ったのです。その時、Sarah Vaughan, Johnnie Ray, Caverne Bakerと13,4歳のサリナとが並んで聴いていたのだそうです。Johnnie Rayは"Just Walkin' in the Rain"で大ヒットを飛ばしました。 そこに誰が知らせたのか知りませんが、警察が手入れにきたのだそうです。店の主人はいち早くビリーに知らせ、裏口から逃がしたということです。 「そうか、そうか」とお気づきの方もあろうかとは思いますが、ビリーはドラッグをやっていたのです。ビリーが44歳の若さで死んでしまった理由なのでしょう。 残っていた彼女らは当然仲間と思われ、警察に連れて行かれ一晩留置場で泊まることになってしまったのです。実際には、何もやましいことはありませんから無罪放免にはなるのですが、デトロイト警察の旦那は粋というか、しっかりしているというか、翌日になってまずモップで床磨きをやらされ、さらに「お前たち、唄ってくれたら帰ってもよろしい」と言うのだそうです。 サラがピアノを弾き、サリナが2,3曲唄い留置所から出してもらえたのです。サラはもともとピアニストだった話はどこかに書いておきましたよね。 この話は1999年に来日したとき、六本木のレストランで食事をしたときに話してくれたエピソードです。 |