歌と歌手にまつわる話

(38) 難曲 Send In The Clowns (in English)
  

 
Sarah Vaughan(1924-1990)

ウェストサイド・ストーリーの作詞をしたStephen Sondheimが1973年に書いたブロードウェイ・ミュージカル"Little Night Music"の中に、とてつもなく難しい歌があります。それをサラがピアノ一本の伴奏でいとも軽々と唄います。聴いてみる値打ちのある一曲です(SARAH VAUGHAN "I've Got Good", Le Chant Du Monde, France, 1991)。わずか25歳でこの世を去った大物、クリフォード・ブラウンとのレコードも貴重なものです。

こうやってピアノの脇にすわってこの歌を唄うのを見たことがあります。この姿は堂々たる女王です。 同じように難しい歌い方でサラはさらに"Feelings"を歌っています。絶対に人には真似できないと思います。とにかくこの人の声は楽器です。3オクターブですよ。
 


Earl Hines(1903-1983)

BilllyEckstine(1914-1993)

2011年春、ビリーの娘ジーナが父親とサラの正確な話を教えてくれました。

ビリーがアール・ハインズ楽団にいた時です。1943年にサラはアポロ劇場のアマチュアのコンテストで優勝しました。アール・ハインズ楽団には既に女性歌手がいたため、2ndピアニストとして雇われましたが、間もなく、当バンドの歌手の地位を得ました。

翌年ビリーが自分のバンドを結成するときに彼女を呼び寄せ、専属の歌手にしたのです。2人は生涯、兄妹のように過ごしたということです。

サラはビリーのところで唄うのが嬉しかったといっています。唄い方がよく似ているところがあるのは先生と弟子だからです。

私の親しい友人、サリナ・ジョーンズは子供の頃から、サラ・ボーンには可愛がってもらいました。いつも、その話が出てきますし、サリナという名前はサラの「サ」とリナ・ホーンの「リナ」を足してつけた名前なのです。


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