ジャズと雑学 |
(20) 白紙の効用 | |
Thomas Jefferson(1743-1826) |
アメリカ独立宣言の起草者として名高いアメリカ第三代大統領トーマス・ジェファーソン(在任1801-1809)の演説に関する話です。ジェファーソンは演説の草稿を手にして、紙に視線を落としながら名演説を行いました。その演説が終ると手にしていた原稿の紙をポイとばかり落として演壇を後にしたのです。人々はその名演説の原稿を見てみようと、駈け寄り拾い上げてみると、ただの「白紙」だったというのです。 さて、ガーシュインが"Raphsody in Blue"を初演したときの話です。この曲の中にはピアノのソロの部分があるのですが、用意された譜面のソロの部分は「白紙」だったということです。即興演奏で初めてのジャズ・コンサートをやったのです。 作られたソロ譜を覚えて演奏したソロは「書きソロ」と呼ばれます。 |
武蔵坊弁慶が手にもっている巻物が「勧進帳」で、東大寺の寄進の記録がされていることになっているのですが、じつは白紙の巻物であります。
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即興、インプロビゼーションは突然のひらめきのように言われますが、彼の背後にある、その何倍、何十倍の知識、経験とすばらしい感性の所産であることを忘れてはいけません。昨夜、久し振りに大伴
昭氏とゆっくりジャズ談義をしたのですが、そこで出た印象的な話でした。
大学では、黄ばんだ古い講義ノートを持ってきては毎年同じ話を繰り返す教授がいるといわれます。ちなみに私は教室にノートを持ち込まず、手ぶらで講義をすることが日常となっています。ですから、去年とは違うことをしゃべっているのです。 ジェファーソン大統領は退任後にUniversity of Virginiaを創立し初代総長となったのです。亡くなる前の年まで、大学で教授として法律を教えていたのです。 |